
2015年2月26日– 2015年3月19日
近年、急速な人口増加と共に食糧不足が深刻な問題となっています。拡大する農業生産は環境にも大きな負荷を与えています。そんな中、代替となる食糧資源として、昆虫に注目が集まっています。食糧にとどまらず、工業製品や薬剤の材料、エネルギー源としての利用も模索されています。日本で発達してきた様々な技術は、昆虫を産業化するための大きなポテンシャルを秘めていると考えられます。
昆虫は地球上でも最も多様性を有する生物であり、600万から1000万種が生息していると考えられています。100万のうちたったの5000種が穀物や家畜、人間に対して悪影響を与えるものです。昆虫は植物の授粉を媒介したり、廃棄物を分解して土壌養分を作り出すなど、様々な役割を果たしています。日本では昔から蚕やミツバチ、カブトムシなどの昆虫を飼育する文化がありました。そんな中で昆虫への関心は教育においても高まっています。東京都では2012年から科学教育の一環として、小学校の先生が昆虫との触れ合い方を教える授業を支援しています。例えば、カマキリやモンシロチョウの捕まえ方を指導しています。このように今、様々な側面において昆虫が注目されています。
このワークショップの背景となるテーマは、東京のビジネスの中心地である大丸有エリアにおいて、都市と産業を再考することです。昆虫を素材としてプロダクトをデザインすることで、様々な産業を結びつけ、また、これからの持続可能な都市のあり方を考えます。
2014年8月20日 - 2014年9月1日
2014年の7月18日から8月1日にかけて、ハリファックスのダルハウジー大学において、建築学科の学生を対象としたワークショップを開催しました。テーマは、建築を通して昆虫の生態を探ることです。
急激な人口増加と気候変動の結果、食糧供給は需要をカバーできず、農業は今窮地に立たされています。そのため、国際機関は代替となるような食糧生産の方法を模索しています。
その中で、食用昆虫が注目されています。2014年に国連食糧農業機関が発表したレポートでは、食料供給や食糧安全保障に対して、昆虫が貢献する可能性が指摘されています。
このような背景の下で、ワークショップにおいてはカブトムシをテーマとして設定し、参加者は建築デザインの提案をおこないました。機能面をデザインするために昆虫の生態や飼育方法について、形態面をデザインするために多面体の構造について、それぞれ調査しました。
ワークショップの最後には、教室を「ハビタット・ラボ」として、インスタレーションを制作しました。詳細な調査をもとに、卵、幼虫、さなぎのそれぞれを格納するためのポッドなどを備えた、カブトムシを飼育・収穫するためのタワーを提案しました。